株式会社あらまほしの戸田です。
2019年5月20日(月)に静岡県立大学主催の「起業家による連続公開セミナー」にお招きいただき、講演させていただきました。
「もう再来週くらいに起業したらいいんじゃないかな?」
「日本なら失敗しても餓死することはないから大丈夫!」
などと学生さんに軽率な起業を勧めてきました。
講演スライドは以下にて公開しています。ご関心ありましたらぜひご覧ください。
講演スライドの中に「IPOをめざすべきか、めざさぬべきか、それが問題だ。」という1枚があります。
そもそもこの教室には起業家セミナーとは言いつつも、起業する予定の学生さんはほとんどいない、という状況でした。
ただ、それも致し方ない気もします。日本でなかなか起業というのはやはり身近なものではないのでしょう。
そのような状況において、IPO(株式公開)というのは、世の中のほとんどの方が輪をかけて想像したこともないでしょう。
思考は現実化する、とは限りませんが、まったくイメージできないことが現実になることはほとんどありません。
もしこの日の講演を聴いて
「もしかしたら自分も起業できるかも」
「上場企業をつくる、なんてことができるのか」
と少しでも思ってくれた学生さんが一人でも増えれば、こんなにうれしいことはありません。
まだまだ静岡ではベンチャー・起業のエコシステムというのは活発ではありません。
僕自身、まだほとんど何も実績がなく、失敗ばかりですが、これからもどんどん挑戦していくつもりです。
ぜひ静岡で挑戦していく仲間を増やし、この街を、この国をもっと元気にしていきましょう。
※2019年6月8日追記
受講したみなさんから感想、コメント、質問をいただきましたので、掲載させていただきます(質問へは回答も記載)。
■感想・コメント
・大企業を辞めて起業する起業家精神と、失敗しても次々に新規事業を始める行動力に圧倒された。
・顧客が欲しがるものを作るのは大切だが意外と難しく、顧客獲得量>Life Time Valueだと事業がきつくなる。
・新しいことを始めるには経験を積む場も必要だと感じた。
・一生学び、何かに対して疑問を常に感じながら生活していくことで、新しい事業を始めるということに起業することの面白さを感じた。
・自由に仕事をするために、スタートアップで起業するのは魅力的なことだと思わされた。
・大人になり会社に勤務したら平日はひたすら働くものという先入観を持っていたが、ここまで楽しそうにほぼ趣味の延長線上で新たなビジネスモデルを生み出していることに驚いた。
・仕事にはお金にはならなくてもやりがいのあるものもあり、素敵だと感じた。
・従業員のモチベーションで生産性を向上させようとする事業はとても良いと思った。モチベーションが高い仕事にはAIロボットを投入しすぎず、逆に低い仕事でなくてはならない仕事には投入して人手不足を解決する策もあるのではと考えた。
・新しいことを次々と考え、失敗を恐れず行動していくことが起業家の共通しているところなのかなと思った。
・道徳的なことを言ってもなかなか状況が変わらないから、テクノロジー的・経済的に考え方を変えるというのはすごいなあと思った。
・綿密な計画を立てる慎重さと行動を起こす大胆さがなければ起業し、成功するのは難しいと感じた。
・起業というと、なんとなく華やかなイメージを今まで持っていたが、何度も試行錯誤を繰り返して、今の状態を作り上げたということに驚きを感じた。
・単にお金をもらうために働くのか、あまりお金にはならないが楽しみながら働くのか。感慨深いと思った。
・今持っている知識も時代に合っていないと意味がないので習ったことがあるからと満足せずにアップデートするようにしようと思った。
・今までの経験や社会問題に鋭いアンテナを立て、今どんなニーズや課題があるのかを見つけ、解決策を考える、失敗してもその経験を生かして新たなことに挑戦する姿勢に感銘を受けた。
・行政と正反対の世界からの講義で新鮮だった。
■質問&回答
・なぜ起業しようと思ったか。そのきっかけは。
⇒『羽月莉音の帝国』というライトノベルを読んで。
・スライドの中で「面白い⇔ふつう」といったグラフがあったが、「面白い」の反対は「つまらない」なのでは?あるいはつまらないことはたとえ稼げてもやらないということか。
⇒つまらない仕事は基本的に引き受けませんが、もちろん金額次第です。地獄の沙汰も金次第。
・Web制作でも収益を出していると言っていたが、どういう形で稼いでいるか。
⇒受託制作です。
・ソフトフェアはどこで学んだか。
⇒独学です。本を読んで実際に手を動かしてみるのが大切かと思います。
・モチベーションをどう測る予定なのか?基準は何にするか?
⇒現在は、従業員へのアンケート調査を予定しています。尺度は大学の研究者の方々過去に開発した心理調査のものを使用します。また、将来的にはセンサーで自動計測する方法を考えたいと思います。
・勤めていたシンクタンクは自由度が高かったのか。
⇒とても自由な社風でした。自分が主担当になるプロジェクトの割合が増えてからは特に。
・起業する時にお金や将来についての不安、怖さはなかったのか。
⇒あまりありませんでした。失敗したら失敗したでまた就職すればいいかな、と。
・人脈を広げるコツは何か。そのつながりはどこで生まれたか。
⇒あまり無理して広げなくてもいい派です。自分にコンテンツがないと特に何も生まれないので。今の人脈はおもしろそうなプロジェクトをするために人に声かけたり、あるいは誰かに誘われた時に気軽に出ていったりすることで自然にできたものです。
・なぜ奈良の田舎町でコンサルティングを始めようと思ったのか。
⇒そこに仕事があったので。
・事業に失敗して挫折したことはあるか。
⇒これまで立ち上げた事業は概ね失敗していますが、諦めなければ挫折ではなく経験です。ちなみに人生で挫折した唯一の経験は大学1年生の時で、箱根駅伝に出たかったのですが箸にも棒にもかからず陸上競技を辞めた時です。
・AI・ロボットが人間の仕事を将来奪うといわれているが、その状態で起業しようという人は増えるのか。
⇒これは僕の講義での説明がわかりにくかったかもしれません。すみません。AI・ロボットにて代替される仕事は増えますが、人間の仕事がなくなることはありません。AI・ロボットと人間の一番の違いは何かと言えば、「これをしたい!」という欲望があるかどうかではないかと思います。なので、むしろ起業するような人はAI・ロボットがどれだけ普及しても必要なのではないかと思います。
・事業がうまくいかなくても、次の新しい事業を始める活力はどこにあるか。
⇒無理をしすぎなければいずれ回復します。疲れた時にはおいしいごはんを食べて、ぐっすり寝て、ゆったり読書して、ライブに行って遊ぶとよいと思います。
・外国人政策に関連する新規事業のアイデアはあるか。
⇒これがなかなか難しくてですね……外国人留学生の就職支援とか考えたことはありますが、ビジネスとしては難易度高めです。
・もともとの学部は何人だったのか。
⇒覚えていませんが、学類単位だと120人くらいだったかと思います。
・今の大きな夢は何か。趣味だけのために働いているのか。
⇒人類の歩みを一歩進めることです。
直近の具体的な動きでは、新規事業を通じてハッピーに働く人を増やしたいと思います。
・顧客のインタビューはどういう方法か?そのデータの信用性は?
⇒あらかじめインタビューしたい事項を整理した上であまりそれにとらわれず顧客にざっくばらんに話してもらう半構造化インタビューを行うことが多いです。データの信憑性という点ではサンプリングが重要ですが、学術論文を書くのが目的ではないので、その時クリアにしたい事業課題を聞けそうな対象を選ぶことが大切になるかと思います。
・起業してよかったと思う瞬間は?
⇒大体毎日楽しいので大体毎日起業してよかったな、と思っています。あとは新しく開発したプロダクトが売れた時とかです。
・学生時代に、起業することは意識していたか?
⇒していませんでした。シンクタンク研究員または国会議員として政策形成の専門家になる予定でした。
・沖縄に行ったら何をしますか?
⇒最近行けていないのですが、また久米島マラソンに出てみたいと思います。沖縄本島だと瀬長島温泉がオススメです。
・起業に人間関係やつては必要か。
⇒あるに越したことはありませんが、卓越したプロダクトがあればその限りでもないかもしれなせん
・この先もずっと事業家でいたいと思うか。あるいは会社員などリスクの低いところに戻りたいと思うか。
⇒実は雇用形態にはそれほどこだわりはありません。今のところ自分の会社を続けると思います。あと「会社員はリスクが低く、事業主はリスクが高い」というのは、必ずしもその限りではないと思います。
・おすすめのバンド名はなに?
⇒牢獄発囚人ガールズバンド「82回目の終身刑」です。ググってみてください。
・戸田さんにとって良い企業とは?
⇒株主・顧客・従業員・家族・本人など関係者が幸せになっている企業ではないかな、と最近思うようになりました。
以上です。たくさんの感想、コメント、質問ありがとうございました。
みなさんの中から次代を担う起業家が生まれることを期待しています。